2022年
12月例会報告
2022年12月11日(日) 神戸登山研修所(王子公園内)3Fホール
12月11日(日)は暖かった11月とは打って変わって、師走の寒波が身に染みる一日でした。午後1時から3Fホールで開かれ、30名が出席しました。
馬場会長挨拶に続いて、年末の定例になっている伴薫会員(伴園芸社長)の山野草よもやま話が始まり、神戸山草会入会45年の伴薫会員の滑舌良く、蘊蓄にあふれる話で盛り上がりました。
伴さんの山野草よもやま話
●山草業界は、コロナ禍で各地の山草会で展示会が開かれず、即売会もなくなり、3年続くと山草を作っている人の意欲がなくなる。販売側もフウランなどの銘品といった値打ちのあるものを販売しても、普通品との価値の差がわからない人が増えて、売れなくなっている。
●これまでよもやま話で日本の山野草は酸性土壌を好むことを話してきたが、その研究が進み、半数以上の山野草がそうではないかと思う。コケリンドウやネジバナのこぼれ種子でよく発芽するのは3年ぐらい作っている鉢の土、つまり酸性化した用土で、病気を防ぐためにいろいろな古い用土を混ぜれば多数混在する菌類の生育バランスがとれ、 病気に至る菌が暴走するのを防ぐ。リン酸・カリの肥料を多くすると酸性に傾く。伴園芸の用土は㏗5.2(酸性)ぐらい。
●鹿沼土や赤玉土の産地では表層部を掘り尽くし、だんだん深いところから採土するようになり、酸性度があがり(中性)、粒も崩れやすくなっている。
●伴園芸用土は硬質を使っていてミジンがないので肥料の持ちが悪い。安価な用土はミジンが多く、肥料持ちが良いので(草が)大きく育つ。
●ヤクシマハイヒカゲツツジやイセヒカゲツツジの挿し木が良くつくのは酸性の無調整ピートモス。ツツジ類は酸性用土を好むが、植え替えるときの古い用土と新しい用土で酸度が違うと根が伸びずうまくいかないので注意。
●食虫植物も酸性用土の土地に生えており、ギアナ高地特産のヘリアンフォラの交配種やオーストラリア西部特産のセファロタス・フォリキュラリス(フクロユキノシタ)は、昔は大変珍しく高価だったが、近年は増殖されて安く手に入り、以前より性質も丈夫なものが増えてきている。植物は酸性度が高いと根から養分を吸収できなくなり育たない。そのような酸性の強い場所に食虫植物は生育し、養分は捕虫して得ている。捕虫葉(袋)の中に薄い液肥を直接入れてやると効果がある。
●環境省の絶滅危惧種リスト掲載種が増えており、山草業者でそのような種類を扱う際は、販売の免許を取っている。ヤドリコケモモやリュウキュウアセビなどは展示もできない。趣味家が増やしたものを交換したり無償で譲渡するのはいいが、販売(金銭が伴う)は禁止されているなどの絶滅危惧種に係わる話題も出て、盛り上がりました。
例会後半は会員の卓上展示の後、伴園芸の苗の販売と続きました。
卓上展示作品の一例 写真をクリックすると拡大します

●講演する伴会員

● イヨアブラギク(キク科)(網会員)
シマカンギクの変種で愛媛の特産種。毛の生え方が違う以外はシマカンギクと変わらないと図鑑にある。

● タイワンウラシマソウ (サトイモ科)(大林会員)
1996年にウラシマソウの新亜種として学名が付いたもので、仏炎苞の明瞭な縞模様、秋に開花、釣り糸状のものが短いといった違いがある。

● プテロスティリス xトベヤナ(ラン科)(大林会員)
オセアニア・オーストラリア原産の地生ランでP.アラータとP.コンキンナの交配種。


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●ヘリアンフォラ(サラセニア科) (販売展示) 南米ギアナ高地特産で今のところ23種あるそう。