9月も半ばになろうとする13日の午後、残暑厳しい中、のじぎく会館101・102号室にて、出席29名で開催されました。
まず、先月の会報の1ページにも書きましたが、秋の山野草展について中止に至った報告が会長からありました。また、副会長からは展示会での講習会も中止、相楽園での菊花展も中止になり会員のボランティア参加もなくなりました、との説明がありました。
3月の例会中止以降、8月に臨時で企画した例会も急遽中止とするような綱渡りのような状況下、新型コロナにかからないように会員が集るにはどう運営するか随時協議は行ってきました。会場ののじぎく会館とも相談のうえ、会議室の定員の半数までという基準をベースに体温計測・マスク着用・最低1メートルのソーシャル・ディスタンスを守り例会の再開にこぎつけました。
メインテーマ
半年ぶりに例会ということもあって、集まってくれた会員同士、今年の夏を振り返るとして山草の夏越しがどうだったかを中心にひとりひとりの反省を発表してもらう懇親会がメインテーマでした。
昨年、若手の会員とベテラン会員の図らずとも競作の様相で「秋の山野草展」で立派に花が多数咲き、大鉢で葉焼けも少なく、来場者からも目を引いた「キイジョウロウホトトギス」が、この夏は昨年と比べてかなりの作落ちで、がっかりですという声がちらほらと聞かれました。
全体的に、春から夏のこの半年は、まずは春先の低温傾向で山草の花が長く咲いたとか、予想よりもよくできた、という楽観的状況から6〜7月の長雨で気温が低め、長雨さえ避けられる環境ならば意外と元気だったのに安心して作っていました、それが梅雨明け以降の猛暑・酷暑の連日と雨が降らない強烈な乾燥でみるみるうちに草たちが弱っていく中、対応も遅かったのか栽培成績が急速に悪化していったというのがこの夏の懺悔というところだったでしょうか?ベテランも初級者もお互いのこの夏の苦労話に花が咲いた談話が続きました。
サブテーマ1《シャクナゲ植え替え》
森田名誉会長のシャクナゲ植え替えのワンポイントレッスン、夏越しのテクニックを話していただきました。(同様のテクニックが1974年出版の神戸山草会編「入門 山草・野草」464〜465頁の「時期はずれの植替え」という項目で説明がありますので、本をお持ちの方は参照のほどを。森田さんのほうがより細かく用土の入れ替えを行っていて進化しています。)
サブテーマ2《コバイモの種類、栽培法》
髙木会員にコバイモの仲間について種類と栽培を語っていただきました。これまでも日本のコバイモ類は会員の興味もあって、折を見て種子の配布・球根の植え付け・栽培の説明といった講習を近年何回か取り上げてきました。髙木会員はそのコバイモたちがマニアの中で人気が高まり始めたころから、ご本人も負けじとこの二十数年にわたり日本各地の自生地へ足を運び、自生地の環境や開花姿を執念で写真撮影されてきました。そのコバイモとの出会いのエピソードで面白かったのは、ハーレーダビッドソンのサーキット会場に出向いた際、帰り道の途中、小さな神社にコバイモの群生をお子さんが見つけたという話でした。意外な自生地での遭遇が印象に残りました。
コバイモの仲間は全国的に分布がごく限られた地域にしか見つかっておらず、またその自生量もコシノコバイモやホソバナコバイモ以外は少なく、図鑑にも「まれに生える」とされる希少種です。なおここでは自生地がわからないよう説明しています。例会当日にはその髙木さん努力の賜物!である貴重な自生地でのコバイモたちの姿を映した十数点の写真を張り出して皆さんに見ていただきました。
髙木さんが増やされた数種類のコバイモ球根20球近くを分譲苗として提供されたので、その抽選に目を奪われ、会長が補足する種類の説明には耳を貸す人はほとんどいませんでした(笑)。
コバイモの種類や説明と栽培法についてはこれまで何度か講習したので再度ここには書きません。山草の栽培難易度としては、ある栽培テキストによると中度(5段階の3)で、決して難しいものではないのですが、要所要所の管理をきちんとすることや肥培に努め、用土を清潔にしておく、他には微妙なくせをつかんでおく、などのきめ細かい配慮が必要かと思います。種子から育てるのが自分の栽培環境に見合った性質を得られるので好ましいのですが、種子から開花に至る期間がベテランで5年、へたすると6~7年が必要です。
ちょっと専門的な解説書には2013年にみねはな会が出版した「山野草・栽培全書」の「バイモの仲間」(64~67頁)が、栽培についてマニアが書いた詳細な栽培テクニックをまとめた2018年の「山野草とミニ盆栽」最終号であるVol.128の「コバイモ栽培・決定版」(68〜71頁)という記事が有用です。
当日配られたコバイモの仲間がどこに産するのかというレジュメの内容には訂正や補足がありますので、先に述べた解説書や平凡社の「改訂新版・日本の野生植物・第1巻を見て自分で確認してください。テーマのコーナー終了後は、卓上展示の解説と、分譲苗の頒布で終わりました。
ミノコバイモ
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